ぺんじん

To Leslie トゥ・レスリーのぺんじんのレビュー・感想・評価

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)
4.1
沁みるなぁ…人間の弱さとそれになんとか向き合おうとする主人公の姿に胸が打たれる…アメリカンモーテル人情物語。
2000万円ぐらいの宝くじが当たって、一旦時の人となったシングルマザーのレスリー。ただ投資に失敗して、さらに酒浸りになって宿無し&一文無しに。久しぶりに会った息子にも見限られ、渋々地元で生き残ろうとする…というストーリー。
レスリーはどう見ても重度のアル中なので、福祉の力が必要な人なんだけど、こういう人は周りから嫌われていて、しかもプライドは高いのでなかなか助けを周りに求められないのはリアル。
あとお金欲しさに女性としての魅力で勝負するんだけど、年齢もいってるせいか鼻であしらわれてしまう惨めな感じもなかなかリアルで辛い…ここら辺の微妙な感情の動きをアンドレア・ライズボローが表情と声色の変化で演じているのが素晴らしかった…
あと一緒のモーテルで働いている黒人男性も夜中になると素っ裸で吠えているんだけど、なんかそれでもモーテルで1人の人間として受け入れられているというのが、なんか長屋落語的でグッときてしまった…
最後はなんやかんやで江戸人情的なハッピーエンドになるんだけど、居場所を見つけるんじゃなくて、居場所を作るというのがアメリカロードサイドっぽい話だなと思った。やっぱりアメリカ人にとっても夢だよね、ロードサイドのダイナー。
社会的弱者を丸っと包み込むような、人情味に溢れたストーリーが良き。シンプルなストーリーだけど、ライズボローの演技で素晴らしい物語に仕上がっている。
ダメ人間だって良いじゃない。居場所は自分の力で作れるから。アメリカンみつを。
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