若色

炎上する君の若色のレビュー・感想・評価

炎上する君(2022年製作の映画)
3.5
原作を、こねて炒めて味付けしたら、思わぬ味付けになってしまった作品。
どうも、西加奈子さんの原作を愛してやまない若色です。

原作がそうでもなければ、この味付けでも美味しく食べられるのかもしれないのですが、とかく原作が良すぎるために、こんな味付けしちゃったか…という感覚は拭えなかった。

誰のためにムダ毛を剃って、誰のための服を着て、誰のための自分なの?
ここに出てくる女性たちは、誰のため?にもがきながら生きている。そこに出てくるスーパーマジカルフレーズが「君は何も悪くない」だ。
この台詞は42分ほどの短い中で何度も出てくる。
これは言うなれば「ムーンプリズムパワー🌙!」や「テクマクマヤコン💄」と同義であり、劇中で倒れかける女性を奮い立たせる(変身させる)ことで、痴漢にあっている女性や、女の子が好きなことをいじられる女性の背中を押してきた。
スーパーマジカルフレーズによって、傷ついてる女性の救済を試みていたこともわかるし、ふくだももこ監督自身が傷ついていることもよくわかった。
「誰かのために服を選ぶ女性なんかもう見たくない」という台詞には、不覚にもグッときてしまった。

これはこれでいい話だと思う。悪くない。
でも原作オタから一言言わせてくれ。

原作では「炎上」の意味が最後大転換される。誰のために脇毛を剃るの?が見えてこなかった主人公2人が明確な意思を持って脇毛を剃り、足先に燃えるような痛みを伴いながらハイヒールを履くことを選ぶ。
わたしは原作の2人の主人公を推せる。泣きながら応援したくなる。映画ではなんでそれを省いてしまったのか。ここでしょ、原作の名シーンは、、、
それって最後の脇で通じているの?

「バービー」鑑賞後に、映画館をハシゴして観たこともあり、男と女について考える日でした。
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