冷蔵庫とプリンター

ザッハトルテの冷蔵庫とプリンターのレビュー・感想・評価

ザッハトルテ(2022年製作の映画)
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 愛すべき凡庸なロマコメ。その中でも今作はかなり純度が高く、思わず顔がほころぶ。
 カフェ・ザッハーのベテランスタッフの面々や元オペラ歌手の老婦人、隙あらばマカロンを盗む少女など、脇を固めるキャラクターも愛おしい。ドイツ出身のロマコメの名手エルンスト・ルビッチを少しは意識しているようで、ラストの『極楽特急』でも見られたドアの使い方にはニヤリとした。ドイツがルビッチを輩出した国だということを思い出させる良作で、ザッハトルテの名に相応しい極上のスイーツ映画だ。