独り立ちしたクリードの新たな闘いは、過去の因縁。思い出したくないクリードVS忘れないデイムの対決だ。なんか急に「あしたのジョー」っぽくなった気が。すっかり熱血少年漫画だよ。
舞台はフィラデルフィアでなくLAに、残念ながらロッキーも過去の人となり登場しないけど、失うものがない負け犬（デイム）が挑む構図はオリジナル『ロッキー』に回帰してるから面白い。しかもクリードはかつてのアポロの側となり、厄介な兄貴分であるデイム、娘、母との問題に直面。『ロッキー』全シリーズがファミリー・サーガであるように、やはりクリードもそれを受け継いで円環するのだった（親子関係はロッキーと同じ轍を踏まないけども）。
スタローンと同じくマイケルBジョーダン自ら監督し、特訓では階段ならぬ山上りで雄叫びをあげるし、ビル・コンティの"Gonna Fly Now"もちゃんと流れるし、ドラゴ息子も引き続き登場し、要所は意外とロッキーの文脈を外れなくて安心。同時に、娘がボクシングに目覚めたり女性トレイナーが当たり前にいたりと細部は今らしく、クライマックスの試合シーンも斬新な演出だ。てか、アニメ版「あしたのジョー」じゃん！
２人のドラマ以外の扱いが軽い（メキシコ系フェリックスが咬ませ犬すぎて酷い…）けど、強面で不気味なほど静かな威圧感を発するジョナサン・メイジャーズは、これまでのシリーズで最大級の名演といっていい（ほんと良い役者なんだよな…残念すぎる）。白と黒、柔と剛、光と影のコントラスト。つくづくクリードもマイケルBジョーダンも真面目で素直なんだよなあ…貧乏性ロッキーみたくしょうもない金遣いとかしないもんなあ。
でも一つだけどうしてもスルーできないことが…ロッキーから（たぶん）引き継いだ大事なカメはどうなった？？？まだ生きてるよね？
