フランス定番のバカンス×思春期の通過儀礼映画の王道クラシック。大昔に観たけど、実はクィアな映画だったのか。別世界に住む同い年のピアニスト少女クララは白馬のお姫様、男などどうでもいい。そして見守ってくれる大人の女性、手を繋いで見守ってあげる小さな友達がいる。母親でもなく妹でもないのが良いね。
しかし、シャルロットにとって特別なクララより、どう見てもシャルロットがよっぽど特別な女の子なんである。映画の作り手も観客もそう捉えてる。不機嫌に当たり散らし、俯いて不安に怯え、背伸びしても子どもなシャルロットの細いうなじ、ミニスカートから伸びた長い手足、ほつれた髪、汗ばんだ肌、半開きの口と不安定な声。セルジュほどではないにしろ、(ナチュラルボーン)ロリータ・アイコンへの視線があからさまに危うい。
それでも、やっぱり今観ると現実を生きる女たちの存在がビタースウィートな味わいを強めてて、よく出来たカミング・オブ・エイジ・ストーリーでありガール・ミーツ・ガール映画に思えた。私を連れてって!と行かないで!の切実さに泣ける。