カモ

オットーという男のカモのレビュー・感想・評価

オットーという男(2022年製作の映画)
4.2
ある程度情報を仕入れた上で普通に感動するのだろうと思いながら観たら、とんでもなく感動した。
呆れる程の堅物で、決して周りと友好的な関係を築いている訳じゃ無いけど、それでも理解してくれる人がいない訳ではなく。それはオットーが何ら間違った事をする人間では無いから。
でも、妻のいないこの世に生きる意味を見出せず然程の躊躇いも無く自死を選択するけれど、ほんの少しのタイミングと生来の生真面目さで望みを叶えられずと。
そんな中で出会うマリソル達と過ごす日々がカチカチに凍ったオットーの心を少しずつ溶かしていく様が何ともいえずにエモい。今のシーンに時々挟まれる過去の日々の描写からオットーの本当の人間性が見えてきてたまらなく切なくなってくる。ストーリー上派手な展開がある訳じゃ無くて日々のマリソルや周りの人との関わりによりオットーの心が少しずつ変わっていくように、観ているこちらも少しずつ少しずつオットーに感情移入して行き、気がつけばとんでも無く気持ちが持って行かれてしまった。トムハンクスの枯れた演技とマリソル役の底抜けの明るさとポジティブさが素晴らしかった。
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