バンクーバー国際映画祭にて。
カンヌ公式セレクション初のパキスタン映画だそうだ。クイアパルム受賞。
伝統的家父長制のもと比較的幸せな家族の物語とセクシャリティの解放ドラマかな。
あからさまに家父長制を批判するわけでも悪とするわけでもなく、むしろ順調で幸せな家族として描きながらも、予期せぬ出会いと発見、つかの間の自由を求めたことにより何かが静かに動いていく。
ジェンダー、セクシャリティ、多様性を求める姿を含みながら俯瞰的に描く家族のドラマ。
彼らは現在の状況にはっきりとした不満があるわけではなく、長きにわたり自然にそうなるものだと思っているので、ラナ家の次男ハイダの行動とそれに伴ういくつかの出来事が起こるまではだいたい平穏。
トランスジェンダーのダンサーのビバに惹かれていく。彼女の境遇は全く平穏ではなく、古い価値観の人々からの差別を受けながらの生活。
そんなハイダとビバが惹かれあう。当然隠れて会うようになるが、妻が勘づいたらどうなるか。
不倫・浮気のメロドラマ、背景にパキスタンの伝統的家父長制、マイノリティの抑圧。
悲しいことも起こるし、家族はどうなるのかと思うが、それでも続く伝統的結婚。
あまりの切り替えの早さにどういう視点で見たらいいのか戸惑う映画だった。
どちらに肩入れもせず、こういう伝統的家族と現代的な多様性を求める者が混在する世界を観察するような印象を受けた。
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