多湖

シモーヌ フランスに最も愛された政治家の多湖のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

シモーヌのお母さまが死ぬ直前にシモーヌに遺した言葉が一番印象的だったかもしれない。たしか、「人には優しく」「人を傷つけてはいけない」というようなことを遺していたと思う。

収容所での日々は明確に極限であって必要最低限にも及ばず、人への優しさが自身を死に至らしめる。人間が人間として生きたくとも、生を優先するならばそれは絶対に叶えられない・叶える“べきでない”とすら言えるような場所だった。

それでもあの人はそんな言葉を娘に遺したのか…。どれだけ人として成熟した人だったんだろう…と思いを馳せてしまった。
シモーヌという人には明確に母から教わったこと(、そしてあの日々の記憶)が根幹にある、そう窺えた。人は人を救うことができる、そしてシモーヌにとってのその手法は政治だったということ。世界を変えられる可能性のある、政治を選んだ人。そんなことを思った。

彼女が素晴らしい夫と仲間に恵まれて良かった。
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