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お熱いのがお好きのkyonのレビュー・感想・評価

お熱いのがお好き(1959年製作の映画)
4.5
1929年のシカゴ、まさに大恐慌で禁酒法とギャングの時代。冒頭の一連のギャングたちのカーチェイス。フィルムノワールみたいな雰囲気で、誰がこの作品をコメディだと思うのでしょうか!笑

ワイルダー、ルビッチに師事しつつフィルムノワールも作ってたから、ちょうどそのラブコメとノワール感が融合していて良い画面…良い作品…と嬉しくなる。


そのギャングたちが裏切り者を始末する姿を偶然見てしまったのが、トニーとレモン演じる楽団員2人!笑
なんとか逃げるために女装して女性のみの楽団員に。

これまたなんかこの2人が馴染んでて笑っちゃう。
キャラ分けも絶妙でトニーがずる賢い男ならレモンはノリで突っ走る人情系。

その楽団で出会うのがマリリン・モンロー演じるシュガー!
名前からしてシュガーだよ、シュガー!笑
ブロンドガールのマリリン、ちょっとおばかちゃん(を実は演じてる)みたいなキャラのイメージ作ったのマリリン大っきいよね。ワイルダー作品だとヒロインは救われることが多いんだけどね。

でシュガーが次付き合う人は結婚する人よ、お金持ちでメガネかけてる人がいいの、なんて言うからトニーはずる賢い頭を働かせ、シェル石油の御曹司に扮してシュガーと良い感じに。

そんなときシンガーのシュガーが楽団とともに披露するのが、名場面の「あなたしかいないのよ」っていう曲。

でもギャングの伏線も続いていて、とうとう滞在先のホテルにギャングたちが来ちゃったから、トニーとレモンは逃げようとする。
トニーはシュガーに別れを(また別れる理由が上手い笑)、レモンは自分にアタックする大富豪のおじいちゃんと婚約してるからどうしよ、みたいになる笑

その後シュガーがまた歌うんだけど、それが「もう恋なんてしない」みたいな曲で、この流れが綺麗でたまらない…!


ワイルダーのタイミングってほんとすごい。

あとさりげなくギャングの長、スパッツを示すカットとして白いソックスに黒いパンプスの足元が何度も映される。その1カットでスパッツがいるってわかるし、予感がする。
台詞も全くない足元のカットで流れを映す感じが映画的で好きでした。
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