"今日は何の日だ…今日はお前の人生を変える日だ…チャンピオンになってこい…"
最愛の夫を病で亡くし、一人娘を育てるシングルマザーのボクサー真名美。
定職に就けず、貧困に喘ぎ、娘が栄養失調で倒れる状況にまで追い込まれ、遂には義母から親権を奪われ娘まで失う事に…
崖っぷちに追い込まれながらも、娘を取り戻す唯一の方法として真名美が決断したのは…世界チャンピオンになる事…
それは、かつて世界を掴む寸前で不慮の事故で亡くなった父が見たかった世界…父と同じ赤いリングシューズを履き、真名美は決戦のリングへ…
負のスパイラルにハマり込み、やる事なす事上手くいかず、全てを失ったシングルマザーのボクサーが人生を賭けて挑む試合を描く本作は…そう"ロッキー"そのもの。
"ケイコ目を澄ませて"も耳が聴こえない女子ボクサーのお話で、見事なコンビネーションで魅せる作品でしたが、本作は一発一発が重いハードパンチャー…この辺も"ロッキー"と同じような感じを抱きます。
加えて、主人公真名美の正義感が強く、不器用で世渡りが下手なので、とことんまで追い詰められて、何だか観てるのが辛くなります。
真名美を演じた朝比奈彩のボクシングシーンは中々のモノでした。
ただ、走り方はボクサーらしくないかな笑
脇が何気に豪華な俳優人でありまして、"ヤクザと家族"で見直した市原隼人がめちゃカッコいい役どころ…身体もキッチリ作っていて、私の中でまた株を上げました。
俳優人の演技が素晴らしいだけに、脚本と演出に"?"な点が多く、ちょっと勿体無い感じ…ボクシングの練習や試合のシーンは良いのに、母子の話になると途端にツッコミたくなるシーンが続き…うーむ…後、何故せんだみつお…うーむ…
全編、北九州ロケという事もあり、ここもフィラデルフィアをフィーチャーした"ロッキー"と被りますが、ワザとらしい演出がチラホラ散見し、無駄に尺を取っているかのようで、もっと自然に風景の一つとして入れた方がストーリーの邪魔にならなかったのではと思うのですが…
ラストの試合シーンは、中々の迫力で一発一発の力の入り方は素晴らしいと思います。
チャンピオンのふてぶてさもバツグン…なのに…テンカウントがなげー…この辺りも熱演に水を指すようで…なんか惜しい…