…空はどこまでも青く、川のせせらぎ、鳥の囀り…手入れされた庭には美しく花々が咲き誇り、美しい妻と可愛い子供達…まさに理想の家族がいた…その隣では…
ある程度、覚悟して鑑賞に臨みました…ですが…初っ端の長い長い暗転からの画柄には、若く裕福な家族のなんてことはない幸せな日々がただ淡々と描かれていくのです…しかし、そこにただようのは唯ならぬ雰囲気…そこは"関心領域"…ルドルフ・ヘスは、アウシュヴィッツ強制収容所の所長…壁一つ向こうは地獄…ひっきりなしに聞こえてくる銃声、人々の叫び声…モクモクと上がる煙は…
しかし、ヘス一家にはそんな事には無関心…
単なる一家族の日常が淡々と描かれているだけなので、ちょっと油断すると観ているこちらもスルーしてしまいそうになるのですが、毛皮のコートや口紅、歯磨き粉からダイヤ、遺灰が肥料であったりと実に細々とした情報が画面の中に見え隠れしています…
なんですかね、この不快感は…と思いつつも、その場面を観ながらも"うつらうつら"となりそうな自分がそこにいるのです…
こんなトンデモない環境でさえ、慣れてしまい退屈と眠たくなっている自分がいるのです…
コレかなり怖くなってしまいました…
観ている私たちも無関心になっているんじゃないか…
何度か吐きそうにえずくヘス…その先に見えるモノは…
"お前達もヘスなんだぞ"
そう言われているようで…