第二次世界大戦時のフランス、ドイツ、ロシア、アメリカ(イギリスが入っていないのが如何にもフランス映画らしい)での家族の話を音楽、バレエを要所に交えて描く壮大な群像劇だと思うが、なにぶん長尺なので中々集中力がもたない。
戦勝国だけをよく描こうとはしていないので、好感が持てた。
こういう題材の映画を見ると時折思うのは、我々戦後の人間は、いつからこういう敗戦国メンタリティに慣らされてしまったのかという事だ。
敗戦国も戦勝国の戦争犯罪を断罪する映画を製作する権利があるはずなのに、邦画にトルーマンと原爆などを関連付けて描いた映画は皆無だ。
ナチやSSが行ったニュルンベルク法によるユダヤの虐殺は許し難いが、同時に戦勝国になった途端、それに与したとして同胞を断罪する狭量な人々もこの映画は活写している。
しかしR•オッセン演じる人物が、如何にも自分勝手な典型的フランス人で好きになれないし、サラ役のチャップリンの娘さんは映画で描写されている程、歌がそんなにうまいとも思えない。
最後の15分間の【ボレロ】だけ見れば良い。
と断言してはいけないのかも知れないが、そう言いたい。
もう一度観る気になることは、暫くはないと思う。