愛と哀しみのボレロの作品情報・感想・評価

「愛と哀しみのボレロ」に投稿された感想・評価

世界を巡る芸術の旅 ヨーロッパ、アメリカ編



しばらくラヴェルの"ボレロ"が耳から離れなかった。。


1930年〜半世紀、大きな戦争を挟んで激動の歴史に揺れたロシア・フランス・ドイツ・アメリカの国々を舞台に、ある4(5?)家族・2世代の物語が交差する。

とにかくスケールが大きくて、国をまたいだ展開、同じ俳優が登場人物の一人二役を演じていたりするので、人間関係の把握や話の流れについて行くのが少々大変ではあったのだが、、

素晴らしかった!!

それだけでも見る価値があると評判の今作のラストシーン。
世界的に有名なバレエダンサーのジョルジュ・ドンの踊りがどうしても観たくて。。

しかし、圧巻のラストシーンはもちろんのこと、戦争に翻弄される芸術家たちの壮大な歴史物語にことごとく引き込まれ、長尺が苦手なはずなのに最後まで飽きることなく観ることができた。

この間観た"ベニスに死す"では音楽家マーラーがモデルになっていたが、今作も実在の人物がモデルになっている。

カール・クレーマー=指揮者のカラヤン、
エブリーヌ=シャンソン歌手のエディット・ピアフ、
ジャック・グレン=ジャズ・ミュージシャンのグレン・ミラー、
セルゲイ・イトビッチ=バレエダンサーのルドルフ・ヌレエフ、、

脚色もあるだろうけれど、この題材で面白くないわけがない!







*ここからネタバレ






ユダヤ人狩りで学校にまで調べに来た憲兵たちが、ユダヤ人かどうか確かめる為に"生徒のズボンを降ろせ!"と迫るシーン(割礼の跡がある)は先生の機転でなんとか切り抜けたものの、こんなことが本当にあったのか、、と驚いた。
また、ガス室送りになったユダヤ人夫婦(バイオリニストのアンヌとピアニストのシモン)が赤ん坊だけでも助けたい、、と一縷の望みをかけて赤ん坊を手紙・指輪と共に線路に置くシーンは…親としてこんなに悲しいことがあるのか、、と胸がしめつけられそうになった。。ホロコーストの描写は観ていて本当に辛い。

"戦争は必要悪と思っていたが、今となっては害でしかない"と語る、子どもを亡くしたカール・クレーマーの言葉が重く響く。。

バレエダンサーとして成功したセルゲイ・イトヴィッチが両親や祖国を捨てて亡命するシーンは、命を懸けた熱い思いが伝わって来て…堪らない。
そして、残された者の哀しみ。。

女性陣が皆美しいのだが、エブリーヌとその娘エディットを演じたエブリーヌ・ブイックスが特に印象に残った。

チャップリンの娘のジェラルディン・チャップリンがスーザン/サラ・グレンの役で出演している。→歌がものすごく上手い。
(少女の頃のシャロン・ストーンも一瞬だけ年老いたジャック・グレンと共演している)

言葉で伝えるよりも音楽で、ダンスで、

チャリティ公演でパリに集結した芸術家たちの素晴らしい競演、
そして
哀しい戦争の爪痕を愛で乗り越えようとする
芸術家たちの決意。

まさにそれは、愛と哀しみのボレロ



ある母親と息子が再会するシーンは、、


実際に観て、確かめて下さい!!!





完全版は5時間あるそうだけれど、観てみたい気もする。。
Toku

Tokuの感想・評価

4.8
気になった音楽たち
Folies Bergeres/Francis Lai,Boris Bergman
Serenade Pour Sarah/Michel Legrand
Les Violons de La Mort/Francis Lai
Les Allemands a Paris/Francis Lai
Les Uns et Les Autres/Francis Lai,Pierre Barouhi
Un Parfum de Fin de La Monde/Michel Legrand,Boris Bergman
Boris et Tatiana/Francis Lai
Paris des Autres/Francis Lai,Boris Bergman
Dad and Co/Michel Legrand.Boris Bergman
Ballet Apocalypse/Francis Lai
Bolero de Ravel/Ravel
KICCO

KICCOの感想・評価

5.0
ボレロほど官能的なものは無い。

ラヴェルの強烈な音楽にベジャールの振り付け。リズムとメロディを見事に表したベジャール。そのせいでボレロで踊ろうとすると皆同じような動きになってしまうし、何をやってもベジャールのボレロにみえてしまう。

そして、ボレロはジョルジュ・ドンに限る。指の先までしなやかにしなったかと思えば力ずよく風を切る。内なる感情をフツフツと放出させる。それがボレロだ。

申し訳ないけどボレロは男じゃないと。リズムもメロディも男じゃないと意味がないんだ。


3時間かけて積み重ねられた物語がボレロで一気に放出する。
Canape

Canapeの感想・評価

3.9
ジャケットに惹かれて見たやつ。戦争を経て変わりゆく2世代4つの家族の物語。運命に翻弄され音楽と踊りに癒される人々。しかし、全ては時と場所を超え全ての家族が同じ瞬間を共にするラストのジョルジュ・ドンのボレロの為にあると言っても過言ではない。力強い舞いに見る人間の命の鼓動、蘇るそれぞれの時代。もうバレエではない。画面を通しているのに心の底まで入り込む。唯一無二の舞は役のみならず彼の人生そのものでもあることを感じたからだろう。
映画としての採点。彼の舞に点数などつけられない。

主要キャストが2役演じているので相関図を頭に入れておかないと迷子になる。
ボレロ/モーリス・ラヴェル
ジョルジュ・ドン 振付:モーリス・ベジャール
じゃん

じゃんの感想・評価

3.9
なんというか、初めて本物のミュージカル映画というものを観た気になった。
少なくとも自分が考える理想のミュージカル映画に近いかも。

突然、無理やり歌い出されるハリウッドのようなものではなく、自然と歌や音になる感じ。

映画の根底にずっと音楽が流れているイメージ。

台詞は一応あるのだけど、無くても良いように感じる。
いやむしろ台詞要らないと思う。

とにかく映画の中で流れる音楽が、クラシックにしろ、ジャズにしろ何でも気持ちいい。
素晴らしいセンス。

映画としては長過ぎたり、監督の想い入れあり過ぎたりで色々あるのだろうが、ある意味エポックメイキングな作品ではないだろうか。

ボレロとジュルジュ ドンのシーンはもちろん最高。

中身の物語よりも、BGM的に音楽と映像を流していたい。
みやり

みやりの感想・評価

3.6
バレエシーン、ダンスシーン、音楽がいい。映像もいい。激動の時代を生き抜いた人々の話。電車の中で帰還兵が言ってたジョーク?チュ・チュ・チュ・パ・パ・パみたいなの全然分からなかった。あれ爆笑なのか(笑)

それにしてもとにかく長い!途中のストーリー部分は割とどうでもいいと思ってみてた。
汗ほとばしるジョルジュ・ドンの美しいダンスが見もの。最後のボレロは感涙もの。
bebemama

bebemamaの感想・評価

3.4
名作なのに観ていない映画シリーズ。

ラヴェルのボレロが好きです。
名作なんで観たいとずっと思ってたのに、なかなか観ることできなくて、やっと鑑賞。

意外と淡々と描いている。
長回しが多くて、それが効果的。

セリフがかなり少ないのに、惹きつけられる。その代わりに、音楽と踊りで語っている感じ。
ただ、1人2役やってるので、少し混乱。

音楽等の芸術讃歌。
芸術は、自己表現。それによって苦難が癒され、生きる希望を得る。
(しかし、戦争に利用され、禁止され、犠牲にされてしまう。)

ボレロは私の中で、一滴の水が川になって、やがて大海へというイメージなんで、この、様々な人生模様を描いている、大河ドラマの様な映画は、最後にパリのあの場面を持ってきていて、私的にピッタリ。

本当に、あのボレロは感動。
1930年代から80年代にかけて、アメリカ・ロシア・フランス・ドイツで2世代4家族を描く群像劇

1人2役を演じているから途中で「こいつ誰だよ!」となるけど、3時間で上手くまとまっています。完全版は5時間あるけど、観れないだろうなー…

ラストのボレロは圧巻。
mare

mareの感想・評価

4.0
テレビで見ましたが、歴史的な時代背景と併せてとてもためになったら印象があります。
JF

JFの感想・評価

4.1
母親は私にバレエを習わせたかったらしい。本作がテレビで放送されるときに無理やり観せられた。まだ私が小さい頃だ。
以降ジョルジュドンが私の中のバレエのスタンダードになった。

戦争でかなりバッドに翻弄された芸術家たち2世代4家族の物語が、劇場で演じられるバレエ「ボレロ」の前で収束する。

劇中歌、ラヴェルの「ボレロ」。この曲は麻薬だ。1928年に作られた秀逸なバレエ音楽であるとともに、私は計り知れないトランスミュージックだと思っている。心地よい2つの旋律が延々と続く。 小太鼓の限りなく小さな打撃音がする。そこに美しい管楽器のメロディが家のドアを静かにノックするようにやってきて去っていく。また違う楽器が同じメロディを奏でながらノックして帰っていく。彼らは副旋律として小太鼓やティンパニーと共にリズムを刻む。細やかな支流が次第に水量を増し大きな流れとなるように、演奏する楽器は増え音圧が増していく。もはやそれはノックとはいえないレベルだ。相変わらずメロディは同じ、よせてはかえす。もういくつの楽器がかさなっているのかわからない。大河のごとく演奏が重なったときに唯一の転調が発生する。これまでの単調な繰り返し、そして緩やかなエスカレーションの全てが伏線となる。かくして曲は急転直下、一気に劇的な終焉を迎える。聴くもの全員を叩き落とし魅了する。この曲を演奏する者は冗長した反復をキープする段階でとてつもない興奮を覚えるのではないだろうか。それまでの優雅な退屈を吹き飛ばすほど威力があるラストが用意されていることを知っているからだ。

この曲こそ本映画の構造ではないかと思っている。

背景に戦争、芸術と持ってきてはいるが、そこまで掘り下げたものになっているかといえば疑わしい。どこかで見たようなエピソードの集合体であったようにも感じられる。ただこれらがラストのジョルジュドンの神々しい舞の前段のメロディになっていることは間違いない。あえて群像劇にする。一人二役などもつかい、楽器や音を重ねるかのように人物をちりばめていく。これでもかと広げられた人間模様がラストにピンポイントに集合させられるのである。しかも物語として平坦だったものが急に抑揚を持って。

また、ジョルジュドンの踊り自体も最初は退屈に感じる人もいるのかもしれない。でもそれこそが「ボレロ」だ。反復から次第にエスカレートしていく。手のひらのかえりやつま先からかかとまでの上下だけでも情熱の塊を感じさせられる。鍛えられた体から発せられる伸びやかな躍動は演技という枠ではとてもではないがおさめきれない「芸術」そのものだ。

そう考えると先ほどに述べた本作のエピソード一つ一つにも魂があったのかもと良い意味で錯覚させてくれる。

周到に準備されたラスト。監督やスタッフはこの場面に観客全員が釘付けになるであろうことを打ち震えながら、身悶えながら映画製作したのではないだろうか。ジョルジュドンが踊るボレロをエースとして用意しているのだ。これはラヴェルのボレロを演奏する全ての者に与えられた特権と同じような気がする。

個人的にとても思い入れのある映画だけに30年ほどの空白を埋めるべく舐めるように再鑑賞させてもらった。
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