ボブおじさん

愛と哀しみのボレロのボブおじさんのレビュー・感想・評価

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)
4.2
クロード・ルルーシュと聞くと「男と女」を思い浮かべる人が多いかもしれないが、私の中では断然この映画である。

ラスト、ラヴェルの〝ボレロ〟を17分間にわたって踊るジョルジュ・ドンの姿が圧巻。このシーンだけでもこの映画を劇場で観た甲斐があった。

世界の4大都市に住む家族が、戦争を挟んで約半世紀にわたって繰り広げる波瀾万丈の物語を映像詩人ルルーシュが音楽やバレエを全編に織り込んで映画化した。

モスクワ、パリ、ベルリン、ニューヨークを舞台に、実在の芸術家をモデルにした4人の軌跡をルルーシュ自らが脚本も執筆。

1936年モスクワ、踊り子の息子に生まれたセルゲイは成長後、親の夢だった花形バレエダンサーとして活躍。1937年パリ、音楽家同士の両親の間に生まれたロベールだが、ホロコーストで両親と別れる。1938年ベルリン、音楽家カールはナチスに屈することなく音楽活動を継続。1939年NY、ジャズ演奏家の娘として生まれたサラは後にジャズ歌手として成功する。

4つの都市での4つの別々の物語が描かれる。名前も素性も知らない彼らは、やがて一本の糸に手繰り寄せられたかのようにユニセフのチャリティー公演の同じ舞台に集結する。

3時間という時間の長さを感じさせない、壮大なスケールと音楽。クライマックスに向かい集結していくドラマと感動のフィナーレを劇場の大きなスクリーンと音響で堪能した。