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ツイン・ドラゴンの教授のレビュー・感想・評価

ツイン・ドラゴン(1992年製作の映画)
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公開当時、何故か劇場で観た。
本作と併映のジェフ・マーフィー監督「フリー・ジャック」。
特に話題になっていない2作品だが、それ故に純粋で素直な映画鑑賞体験として記憶に残っている。

今回観たのがU-NEXTで配信されているものなのだが、何故か全編セリフが「英語」で収録されている。恐らく間違いないのだが元々は「広東語」だったはず。
そして、その音声に対して口元は当然合っていないし、中国語訛りの英語でずっと違和感がある。どういう経緯で配信されているのかはわからないが、非常に珍妙。

色々気になったので、Wikipediaで調べてみるも、
「日本劇場公開版(およびビデオ版)のエンディングでは、ジャッキー・チェン映画おなじみのNGシーン集ではなく、『ポリス・ストーリー/香港国際警察』『ポリス・ストーリー2/九龍の眼』のハイライトシーンが流れる」と記載があるが、配信版で観る限り黒バックで白文字の、普通のエンドロールが流れる。

役名もテディ・ロビンが演じているボミー(ジャッキー・チェン)の相棒が字幕や英語のセリフでは「タイソン」となっているが、Wikipediaでは「ターザン(チータ)」になっている。これも記憶ではかつて「チータ」の方だった気がする。
またヒロインのひとりであるニナ・リーの役名も「タミー」になっていて、Wikipediaでは「サリー(ランラン)」となっていてよくわからない。

また「香港映画監督協会(中国語版)が資金集めのために製作した作品である。その経緯から同協会所属の数多くの映画監督たち(もともと俳優だった人物も多い)がカメオ出演し、クレジットの大半を占めている異色の作品でもある」と記載がある。
これは事実なのだと思うが、製作資金調達の為に、映画を一本製作するその理由まではよくわからなかった。

ただ、ある意味では「実験的」機会に恵まれたからこそ、ジャッキーにとっても「二役」に挑戦し、また「音楽家」の役を演じたりと新境地を開きたかったのかもしれないと想像する。

とはいえ。音楽に関する演出なども含めて、全体的に「粗雑」で「大味」なつくり。
基本的にはボミーとマー(同じくジャッキー・チェンによる二役)の入れ替わりによる「コメディ」シーンの繰り返しが多い。
立ち去った相手が瞬時に、別の場所から現れた場合、驚くのは理解できるが失神するほどではない事柄が執拗に繰り返されるのは嫌いではないがクドさも感じる。

肝となるアクションシーンについても、他のジャッキー作品と比べて驚くような新味はないが、それでもやはり迫力やアイデアの豊富さはしっかり堪能できるので、魅力はその点が一番大きいかもしれない。

個人的にはヒロインのマギー・チャン、ニナ・リーともに「大人の色気」を感じさせるキャラクターになっているし、多少はバスター・キートンの「セブン・チャンス」のようなエンディングにしたかったような雰囲気などもあって、割と陽気に楽しめた気がする。
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