山崎貴ってホントにスピルバーグが好きなんだな。
『ジュラシック・パーク』や『ジョーズ』は言わずもがな、銀座の赤い服の少女は『シンドラーのリスト』のオマージュかな?
海上戦がメインなのはゴジラ映画として新しいっちゃ新しいが、その分全体像が映る場面が少なめなのがやや物足りない。
そこで銀座を蹂躙する場面がハイライトになってくるが、典子(浜辺美波)の「銀座もかなり復興してきたんですよ」という説明台詞で済ませるのではなく、その過程を映像で観せた上でブッ壊してほしかった。
もしくは、敷島(神木隆之介)が稼いで建てたあの家をゴジラが踏み潰すべきだった。
序盤は敷島がゴジラを撃てなかったせいで整備員が殺されて…という流れだが、整備員が先走って発砲したせいでもあるし、後のゴジラの再生能力を見るにあそこで撃ってても倒せてたとは思えないし、十字架を背負わさせる描写として今ひとつ。
野田(吉岡秀隆)の「この国は国民の命を粗末にしすぎた。この作戦では犠牲者を出さない!」って演説の後に敷島がゴジラへ特攻する準備を粛々と進める様子を観せられても茶番なんだよな。
橘(青木崇高)や澄子(安藤サクラ)は敷島に対して明らかな憎悪を向けてたけど、そこからの心境の変化がよく分からん。
本作の佐々木蔵之介の演技が完全に『ALWAYS三丁目の夕日』の堤真一。
流石に『シン・ゴジラ』を越えるほどの物ではないが、過去のゴジラシリーズでもツッコミどころやチャチい部分はいっぱいあるので、それらや山崎貴のフィルモグラフィーの中では相対的に上位にくる作品ではあると思う。