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ゴジラ-1.0のROのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.2
デフォルメが肝だったゴジラはリアルに、リアルなifを楽しみにしていた戦後描写はデフォルメを利かせてやっていたように感じた。

今回のゴジラはなんというか動きや質感の理屈が通り過ぎていて、なんだか「説明の着く生き物」になっているような気した。個人的にはゴジラはもっと理屈のつかない理不尽な存在を見て見たかった。
庵野秀明がシン・ゴジラやシンウルトラマンでやっていた、あえてCGに特撮感というデフォルメを施すことで超常の者として表現するような技法が、僕にはあっていたんだなと再認識。

もう一つ気になったのは、戦後描写。
山崎監督のAlways三丁目の夕日を見た時にも感じた「戯画化したような世界観構築」は、この映画を見る前に期待していた「もし戦後すぐの日本に追い討ちのようにゴジラがやってきたら」という思考実験的な好奇心とそこに生まれていたであろう人間ドラマを削いでいるように感じた。

特撮という超常を無くしてリアルに格落ちしてしまったゴジラに、戯画化し「ご都合主義」という超常を得た世界観の住民たちが立ち向かう様子を見ても、正直あまりハラハラしなかった。

もちろん、恐らくこれらは僕の好みの問題だと思う。
CG等の視覚効果自体はどれも迫力がありましたし、それだけでも映画館で見てよかった。
ただ、もっとキモ怖いゴジラを見たかった…

追記
個人的にゴジラは「その瞬間の人類(主に日本人)が1番恐れているものの比喩」として存在していると思っているので完全に消えることはないと言うあのオチは納得が言ってます。
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