このレビューはネタバレを含みます
※本編の結末に触れてるのでネタバレ注意
確かに過剰 だが素晴らしい
まず、今作が山崎貴の映画であるのは間違いない。悪目立ちしてしまう説明口調に感情的になりすぎてる登場人物達。戦後という波乱に満ちた時代を生きたからこそまだ余裕ができてないと完結しようとしても確かに目立つものは目立ってしまう。そんなマイナスを上書きするようなゴジラの活躍っぷりはまさに見事の一言に尽きる。人を食らい投げアリを潰す如く踏み潰し、挙げ句の果てに熱戦の爆風で老若男女遂には子供まで吹き飛ばす恐ろしい所業を尽くす恐ろしい活躍っぷり。ゴジラ大活躍の場面やクライマックスの大作戦だけで、この映画の過剰な部分なんて些細なこととすら思うほど大変楽しい仕上がりになっていた。反戦や生きる事への執着に等しいドラマも確かにその通りもっともだ。ここまで叫ばなきゃ誰にも伝わらないかもしれないよな。とはいえゴジラでもいつも通りの山崎貴は発揮されていた…
と思った大作戦終了後のアレが今作を大好きになった理由だ。
自分が見てきた山崎貴監督の作品はどこか穏やかな雰囲気で終わっている。それにオールウェイズは家族っていいな的な終わり方をしていた気もする。そして今作の終わり方はどうだろうか？
これまでの全てに抗い、最大級の不安と最大級の絶望で終わっている。そう、山崎貴は自身の作風を消し去り絶対的怪獣王ゴジラの恐ろしさでこの映画を終わらせたのだ。首元のカットが映るまで「あーそういう感じで終わるのかー」というぼんやりとした絶望を一気に消し去り、高揚感が高まる意味深なカットからの海底に沈んでいくゴジラのカットからのテーマ曲。正しくあの瞬間がこの映画が山崎貴の"家族愛"を裏切った歴史的瞬間であると強く論じたい。
家族愛がゴジラに勝てるか？
民間の努力がゴジラに勝てるか？
人類の決死の覚悟でゴジラに勝てるか？
そんなファンの問いに山崎貴は答えたのだ。
ゴジラは絶対だ。人類は勝てない。
この大きな絶望に大きな希望を見出した。
だからこの映画が大好きです。
山崎貴監督、あの終わり方にしてくれて本当にありがとうございます。
