Lynne

ゴジラ-1.0のLynneのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
2.5
この映画でアカデミー視覚効果賞を獲得したことは、日本を代表する映画ジャンルである「怪獣特撮」の技術をハリウッドに認めさせたことになるのだろうし、核から生まれた存在であるゴジラの熱線の爆風で東京が吹っ飛ばされ放射物質がばら撒かれたことは原爆のメタファーなのだろうし、その2点において、ハリウッド白人中心主義のアカデミー賞に文字通りゴジラの爪痕を残したことには意義があると思う。

けど、ストーリーがあまりにもコテコテでくどすぎる。邦画のだめな部分のごった煮。
臆病だけど技術は一流の主人公、幸薄げな女性とのありきたりすぎる色恋、大切な人を失ってからのブチギレ無双…という飽きるほど見たお決まりの展開とあからさますぎる主人公補正。
それに加えて結局のところ男性たちのマスキュリンなエゴイズムに終始して、安っぽいエモーションを女性で消費するという、もう2024年なのわかってます…?というプロットだった。余計なくどい人間関係を入れたせいでゴジラの脇役感が否めない。

そもそも、日本映画の「うわああああ」「いけええええ」みたいな大袈裟な演技ってやっぱり国民性と合わないというかチープな感じがしてしまう。その点では、大袈裟な感情表現を控えて淡々と緊張感を表現した『シン・ゴジラ』のほうが評価が高いと思う。

それでも佐々木蔵之介と安藤さくらの演技は素晴らしかった。逆に言うとVFX以外で評価できるのはそこだけかも…。
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