SF怪獣映画のセオリー通りすぎる。
昨今海外製ゴジラや怪獣映画が力を入れて来ている最中でせっかくの和製ゴジラでやった事がこれかと思うと、残念に思う。
オマージュとしてビキニ環礁が出てきたことなどはとても良かったが、SFセオリーにここまで乗っ取ったものを敢えてゴジラ70周年でやる必要があるかと言われると、素人には分からない。
ただのSF怪獣映画としてだけ見るなら面白いと思う。
監督が第一人者なだけあり映像美やCGはしっかりしていたし、海外産の生物らしさを取り入れたものが和製ゴジラの姿形で動いていること、街を蹂躙し尽くす絶望感等は素晴らしかった。
しかしまあ、これ系の映画でありがちで本当に飽き飽きしており、最早感想でもない決まり文句であるのだが、ヒューマンストーリーがあるあるすぎる。
終戦直後という新たな時代が追加され、途中までのPTSD的表現等は本当に素晴らしかったが、終盤で台無しだったと感じた。ここまで築き上げてきたダークサイド的感情移入は作品終盤で全てぶち壊されたので、結構今までのSF怪獣映画と何も変わらない。この監督はハッピーエンドしか作りたくないのか?
監督としては世界唯一の核被害国としてのメッセージを残したかったようだが、そもそもゴジラも言うなれば水爆実験による被害者側と言えない事もないので、メッセージの残し方としては個人的に疑問が残る部分であった。解説を読むなどすると意図としては理解出来る。(私の頭が悪いだけかもね)
軍事ドンパチ映画としてのクオリティは高かった。終戦後も生き延びた戦艦を使う部分や、何よりあの戦闘機が出てくることにはロマンを覚える。
CGも破壊感もゴジラのクオリティも文句ない。
SF怪獣映画としてならいっそセオリー通りな部分も含めればもはや満点である。
ただ、70周年ゴジラとして期待していた作品ではない。これに尽きる。