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ゴジラ-1.0のCHEAPGUYのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.0
戦争直後に時代を設定したためどうしても初代ゴジラと対比せざるを得ない。本作は戦後の焼け野原を再現し、登場人物には戦争の記憶を引きずらせてはいるものの、実際に終戦後10年も経たない時期に作られた『ゴジラ』ほどにはそのリアリティが感じられない(後者は逃げる幼い娘を抱いた母親に「もうすぐおとうちゃまのところへ行くのよ」と語らせるだけで見事に戦争の影を感じさせている)。物語に込められたメッセージも核兵器への恐怖と反発から、戦闘員の人命尊重に換わった。それはそれで良いのだが、「芹沢博士の献身」と比べるとどうしてもストーリーとして弱い。もちろん特殊映像技術を使って再現した銀座や東京の当時の街並みの精密さとリアルさは『ゴジラ』を遥かに上回る。本作が勝るのはこの1点のみ。なおリアリティを追求するのであれば佐々木蔵之介を配するべきではなかった。案の定佐々木は舞台劇でも演じているような奇妙な発声に終始し、それこそゴジラ並みの破壊力で本作の趣をぶち壊した。
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