青いビニール袋

ソフト/クワイエットの青いビニール袋のレビュー・感想・評価

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)
4.5
68本目

幼稚園で教師をしているエミリーは、
教会の談話室で白人至上主義の会を結成する
日々の不満と過激な思想を共有し、2次会としてエミリーの家に行くこととなる
しかし途中で立ち寄った食料品店でアジア人の姉妹とトラブルになる

ブラム・ハウス制作の全編ワンカットスリラー映画
この手の映画は基本被差別者側が主人公になることが多いが、
今作は差別主義者が主人公という異色の作品
おかげで今年1番の胸クソ映画になっていました

オープニングシークエンス(特に会合前)がまず素晴らしい
人生がうまく行かないエミリーはどのような人物かを端的に表している
明らかに立場も上であるはずなのに、1人だと何も言えないから、
生徒を使って間接的に文句を言わせるという、
彼女の内面の醜さをうまく演出していた
その後の会合での会話のチョイスも上手くて、
鉤十字のマークを載せたパイを本人曰く「冗談」で振る舞ったり、
団結を表すジェスチャーとして👌を使う、
そして問題の矮小化としてお馴染みのAllLivesMatterを用いたりと
見ていて嫌悪感がめちゃくちゃ増してくる。
神父も追い出したがるのも当然ですよ

群れていないと行動できない人たちが集まるとどのような行動を起こすか、
結果起きたのは史上最低のチキンレース
彼女らが言う「知らなかった。誰のせいでもない。」
いや明らかにあなたたちのせいですから!

アメリカだとトランプの過激派支援者たちの、
ホワイトハウス占拠の事件がこの作品に繋がるとは思うけど、
僕自身この問題は外国の問題だとは思っていなくて、
それこそ某SNS(名前も出したくない)にいる、
彼女らと同じく「自分の不幸は他人のせい」と信じてやまない人たちの、
有名人や社会的弱者への暴言にも繋がっているはず
恐ろしい映画でした