ゆず

ソフト/クワイエットのゆずのレビュー・感想・評価

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)
4.5
ヘイトクライムを全編ワンカットで。わずか90分で人種差別の行き着くところまで行ってしまう。
その時間感覚がありえなさそうで、しかしワンカットなので実際の90分間(しかも日没前後のベストなタイミング)でそれを描いており、非現実感と臨場感を同時に感じる不思議なワンカット映画。それぞれの舞台となる現場が絶妙に近場にあるせいか。ロケーションでも工夫がされている。

だがしかし、描かれる内容は本当に酷い出来事で、大きな労力を注いで撮影したものが胸糞なヘイトクライムである。有色人種への加害。
序盤で人種ヘイターたちの言い分をたっぷりと語らせた後で、じゃあそんな思想を持ったあなたたちがやらかすことってなんなの?…とヘイトクライムへと突き進む姿を描く構成。ヘイターはぐうの音も出ないだろう。

本作に共感しても一方でLGBTQ差別などをする者はいるだろうし、アメリカでのアジア人差別に反対の声を上げる一方で「中国が〜」「韓国は〜」と隣国への偏見を持ってる日本人は多いだろうね。
そんな人たちをどんな風に諭せばいいのか、と時々思う。
放っておけばソフトにクワイエットに人々の中へと浸透していくヘイト感情。だから、放っておくわけにはいかないのだ。

イッヌが本当にずっと閉じ込められてたのかが気になります!可哀想です!カメラの向いてない時に外に出されててほしい!
ゆず

ゆず