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水は海に向かって流れるのtrickenのレビュー・感想・評価

水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)
4.0
広瀬すずの“冬のスタイリング”について、徹底的に考え抜かれた映像作品だった。原作の「どんなにムスッとしていても不思議な魅力がある、なんとなく美人かもしれないと思わせるひと」であるところの榊さんを実写で演じるハードルは大変高かっただろうが、本当に中盤すぎまでほぼムスッとし続けているのに、なおどこを切り取っても顔が整い続けている広瀬すずの映像映えのパワーは凄まじい。CM等で笑顔の広瀬すずより見たいのは、こっちの広瀬すずだった。相手役となる直道を演じた大西利空も、朴訥で朴念仁ながらやる時は(カツアゲ等を)やる男子という難しいバランス感覚を持つ少年役をうまくやり遂げたと思う。

原作既読者としては、フードコーディネートに余念がなかったのも好印象。シェアハウスの全体的な間取りはわかりづらかったが居間周りのカラフルな風景は原作のモノクロ漫画では表しきれないことにチャレンジしており大変良かった。ゆで卵を割り合いながら不満を表明し合うシーンは原作より緊張度の高まりがわかりやすかったかもしれない。

ところで楓役の當間あみは、説得力の高い“モテる女子学生”としての役を果たしていたが、音楽室で直道と食事するシーンで鍛え抜かれた膝下を見て少し驚かされた。それまではスポーツ用のタイツなどで隠されていたので気づかなかったが、おそらくご本人も相当陸上競技等で鍛えているのだろうか?
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