マサ

怪物のマサのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.7
まず、この時代のこの日本でこの作品を観れた事に感謝します。そして、時が経ってもう一度観たときに酷い作品だと言いたいです。
 それだけ今の世の中への疑問、批判、人間の危うさを象徴している作品だと感じました。
親の愛情、教師の熱意、子どもの純粋さ、本来であれば美しく、かけがえのないものが、時代と社会のタイミングによって「怪物」に変わってしまうのだと感じました。人はどうしても見たいものだけを見てしまう。信じたいものだけを信じてしまう。結局、これまで培ってきた人生の経験から都合の良い答えや価値観を導き出してしまうのかもしれません。
 そして、それ以外のものは排除しようとしてしまうのかもしれません。個性や性別から、こうあるべきだと決めつけるのは他の可能性を受け入れたくないからでは?と訴えかけられているようでした。
坂本龍一さんの音楽も素晴らしく、美しいが残酷なこの作品に深みが増していると思いました。

繰り返しですが、今この作品を観ることができて良かったです。
マサ

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