ひみつのほう

怪物のひみつのほうのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

日比谷のプレミアム?スクリーンで前寄りの席で見た。
映像の美しさ、あの世界への没入感を存分に楽しめた。

同じ出来事を別の視点で描く演出で、これがいつ起きたことなのかを理解することに時間がかかったけれど、これは謎解き映画ではないから、何がいつ起きたかを理解することはそこまで重要ではないのかもしれない。
ただもう一度見て、あの行動はあの表情は、どうして出てきたのかを、時間軸としっかりリンクさせたら、より面白そうではある。

映像の美しさ、キャスト陣の怪物を感じさせる演技、坂本龍一の音楽どれをとっても素晴らしかったけれど、やはり監督と脚本の力の大きさを感じた。

校長とみなとの音楽室でのやりとり、あのセリフはいかにも坂元裕二の言葉という感じがしたし、ぐーーっときた。

<好きなシーン>
・あなたは人間ですか?校長に向けられた言葉。
あとから効いてくる。わたしたちは人間だろうか。怪物ではないだろうか?
・病院で念の為にCT?の検査を受けるみなとの表情。自分の脳みそが大丈夫かどうか?豚の脳みそじゃないか不安に思ってるように見える。すごい表情の演技が上手。
・遊具に登りながら会話をするみなととより。諏訪湖が一望できるあの場所はどこ?すごく美しい。
・校長とみなとの音楽室での会話。誰にでも手に入れられるものが本当の幸せ。あのセリフいかにも坂元裕二。その一言で、表情が変わるみなと、イキイキとしてる。
・堀先生の耳に聞こえたトランペットの音が、校長とみなとの嘘の代わりの叫びだとわかるあの瞬間。
・冒頭でかき消された、車の中でみなとが母に伝えた言葉が、「お父さんみたいにはなれない」という、彼の不安が詰まった重大な一言だったことが判明した瞬間。
・嵐から生還し、すべてから解放されて、陽光の中をかけまわる2人。
・母との再会も堀先生の直接の謝罪も描かない、自らを自らの力で解放した子供達の清々しいシーンで終わる潔さ。そこに重なる坂本龍一作の美しい旋律。

追記↓
ラストは2人の死後の世界、、そうなんか、、

思い返せば思い返すほどいい映画だったと思える。

是枝作品の中で最も好き。
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