える

怪物のえるのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
3.8
#映画 #eiga #movie #シネマ #映画好きと繋がりたい

カンヌで「クィア・パルム賞」受賞したというニュースで、今作がLGBTを扱っているとわかってしまって、ネタバレ食らった気がしたのは確かです。
しかし、それはこの作品のほんの一部であって、テーマではありませんでしたね。
構成が”羅生門形式”と言われますが、羅生門を覚えていないわたしは、”最後の決闘裁判”みたいだなと思ってました。
真実はいつも一つ!なのに、それぞれの見る位置や立場、心情によって、その真実は人の数だけ姿を変えてしまいます。
真実は怪物という姿になり、人が憎しみや怒りをぶつけたい対象になるのでしょう。
そのせいで、人々は ディスコミュニケーションに陥る。
それを打開する手立てはあるのでしょうか。
この作品では、その結論は提示されません。
ただ救いなのは、ここに出ている人々は、みんな誰かを守ろうと行動しているということです。
それにしても、俳優さんたちの演技には脱帽でした。
それぞれの幕で、同じシーンが繰り返し映るのに、その度に違う表情に見える深みのある演技で、ゾッとするほどでした。
子役たちの存在感も素晴らしかったです。
える

える