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怪物のcomのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.8
映画前半、
登場人物の全ての言動にどこか違和感を感じて
なんかちょっと気持ち悪い感じがして
心がザワザワして落ち着かないシーンが続いた。

映画が中盤に入り人物の視点が変わり、
今までの不可解に感じていた、そこら中に散りばめられていた言動、点と点が繋がり始めた。
なぜ彼はこんな行動をしていたのか。
変な質問をしていたのか。
嘘をついていたのか。
なぜ、が全て繋がった瞬間思わず
自分はここまで何を見ていたんだろう、
むしろ何も見えていなかったんだ、と衝撃をうけた。
視点が変われば真実も変わるし、
真実は人の数だけあるというのは本当だな。

誰かを思い誰かのために行動する。
思いやりで形成された言動でも、そのことが誰かにとっては脅威に感じられる瞬間が存在する。

「怪物は誰のことを指しているんだろう」という私の中の感情。
私の中での怪物探しは、全てありもしない先入観だった。
本当自分は人間だなって、ショックさえ受けた

自身の目や耳に入ってくる情報が
全てだと思ってはならない

ラストシーンは観た人によって変わってくるだろうな。
なんかもう言葉にするのが難しい感情で
ずっと涙が止まらなかった

あれは死後の2人だけの世界と捉えた。
今まで大人たちに押し付けられてきた「こうでなくてはならない」「こうあって欲しい」という固定概念や偏見や圧力。
そういったものから一気に解放された2人だけの世界。
途中柵があって先に進めないシーンがあったけど、最後のシーンではその柵を越えた先に2人はいた。
この点でも一線を超えたのだと私は解釈した

死後の世界というとバッドエンドに思えるが、きっと2人にとってこの結末は、ハッピーエンドだったのだろうな。
心から笑えている、幸せそうな姿がそこで初めて映し出されたように思えた。

走り回る姿は美しかっただけに、儚さも感じた。
ノベライズを読んでもう一度確認したい。考えたい
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