なんだったっけ

怪物のなんだったっけのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
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終始胸がいっぱいで、苦しくて、嗚咽も涙も出ないくらいずっとずっと苦しかった。

冒頭と結末での、登場人物らに対する感情が全く別のものであった。

物語が進むにつれて明らかになってゆくことが、答え合わせとか、実はこうでしたとかそんな話ではなくて。

当たり前のことなのだけれど、感情や物事の受け取り方は人それぞれであって。それは話し合ったところで互いが本音や素顔の状態でなくては相手には伝わらなく。でも人間は、簡単に、自分でも気が付かないくらいナチュラルに嘘をついてしまうから、悪気のない嘘も何かを守るための嘘も、全部事実を拗らせてゆくものなのだろうな。何事も一直線に見たり考えたりするのではなく、多面的でなければいけないなと感じた

湊くんの隣に座る女の子。読んでいた本はBLのように見えた。彼女は二人の関係性や互いの感情に気がついていたからこそ、絵の具でのシーンであえて目の前にいる湊に投げたのではないかなと思った。

音楽室でのシーンで。校長が湊にかけた言葉や、二人が金管楽器に想いを吐き出す別の場所で、保利先生はあと一歩のところに立っていて。心の叫びが、あの不協和音が、自殺を止まらせたのかとそれぞれの感情を思うと苦しくなってしまった。

子を持つのが怖い。死ぬ気で産んだ自分の子に、傷の一つでもつけたら許さない許せないと私ならなってしまうのだろうな。心配で心配で仕方がない。穏やかに健やかに育ってほしい気持ちしかないからこそ、過保護にもなるだろう自然に。でも、こういった親目線(全然まだ私は子供だけれど)を考えられるようになるのは、もう少し歳を重ねてからなのだろうな。うざったく感じてしまったりするのだろうな。楽しく苦しむことなく生きてさえくれれば良いのに。誰を好きだろうが、嫌いだろうが、そんなの関係ないのに。きっと湊のお母さんも思っていたと思うけれど。「普通に結婚して幸せになる」っていう言葉が湊には引っかかってしまったのだろうな。普通が一番難しいし、大半を占めるもの=普通という解釈も違うと思う。全てのことが人の数だけ答えがあるからこそ、普通なんて存在しない。普通っていう言葉を、使うのに、私は少し勇気がいる。いつも。

解釈。猫と遊んでいたを虐めていたと捉えてしまった先生のように。受け取った側の解釈があって、伝えたいことが伝わっているとは限らないな

よく考えてみればそりゃそうだよなとなるのだけれど。改めて、考えさせられるというか。考える機会を与えてくれている。ゆっくり、考えるべきだなあ。

数字化できないほどよかった
苦しかったけど、鑑賞後、何かを発しようとするたび、言葉が喉奥につっかかる感覚があり、自然と涙がボロボロ出てきてしまった。完全に私の感情の受け皿のキャパオーバーでした。本当に苦しかった。でも観てよかった。もう一度観たい。

後方に座る、テレビでよく見る芸能人
見つけた瞬間びっくりしちゃった!
色んな意味で今日観たこの記憶、忘れることないのだろうな。