第3幕に5.0✨
純愛に最高に心躍らされた。
依里からの着信の画面を見て湊が車から飛び降りるところエモい。
湊を演じた黒川想矢さん。美しさ、危うさ、はかなさと強さを自然と滲ませ、魅入ってしまう。とてつもない才能と存在感のある役者が出てきたと感じた。
以下モヤモヤしたポイント
1幕と2幕の演出的整合感が薄い。
序盤、飴を食べるシーンでこの映画はダメかもと思った。
湊母との対面で保利先生が笑ってる(薄ら笑い)のは2幕のキャラとの整合性があまりにも無い。「母子家庭あるある」というセリフも2幕の保利先生なら言わないだろう。
ミスリードを誘うための演出で、緊張感を保つ効果はあれど、3幕が素晴らしいので少々もったいないと感じた。
なぜあの小学校はあれほどまでに校長の支配力下にあったのか。
生徒たちは全体的には伸び伸びしてたので教職員のガクブルが不自然。
スーパーで子どもを転ばす校長の心の闇が最後までよくわからなかった。
拘置所の面会での折り紙など、回収されない(説明がつかない)シーンがいくつかあってモヤモヤした。
後日、坂元裕二さんのシナリオブックを読み、映画(特に3幕)では是枝監督が意図的に削除したセリフ、まるごとカットしたシーン(美青という女児が関わる部分)があることを知った。
シナリオ決定稿では校長の人物像や孫の件の真相などが描写され、また、湊と依里の関係について説明するセリフが多数ある。
しかし、それらをはっきりと明示しなかった映画の描写が、この作品を格段に素晴らしいものにしていると改めて強く感じた。
美しいラストシーンは二人の夢や死後の転生ではなく、希望に満ちた現実そのものであることを坂元氏も是枝監督もトークイベントで明言している。
線路を遮っていた障害物は嵐でどこかに吹き飛ばされたとのこと。