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怪物のpiのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
5.0
2023.06.02 1回目
2023.06.18 2回目
本当の怪物は誰なのか。(まさに「怪物だーれだ」)
大好きな是枝×坂本のタッグ作品。
情報解禁されてからずっと楽しみにしてたよ⚪️
まずは予備知識0で台風の中公開日に観てから色んな人の考察を読みまくって2回目の鑑賞。

見えている世界が全て正しいとは限らない。
誰もが誰かの怪物になり得ると言う話。
羅生門スタイルで安藤サクラ→瑛太→2人の子どもと3つに視点が変わっていくにつれて"怪物"の捉え方も変わり、丁寧に伏線を回収していきながら真実が浮かび上がってくる構成が素晴らしい。

映画を観ている私たち視聴者も知らず知らずのうちに見えている映像からこの人が悪いと決めつけたりして、私たちも怪物なのかもしれない。

ただ、大切な人を守ろうとするばかりにその行動が誰かにとっての"怪物"に見えてしまうのかもな。
男はこうあるべきであるとか、シングルマザーはこうだとかの思い込みや決めつけが誰かを傷つけることになっちゃうんだよね。
結局"怪物"は自分の中にある、長年信じて作り上げられた正義感から生まれてくるのかもしれない。

2人の子どもが純粋すぎるが故に周りの固定観念に影響されて自分たち自身が怪物なのではと思ってしまっているシーンは観ていて苦しかった。

前半の大人たちが漂わせる不穏な空気感と後半の2人の子どものまるでスタンドバイミーを思わせるかのような世界観の対比が秀逸。
最初に作品に対して抱いた印象と観終わってからの印象ががらっと変わった。

校長先生の「誰かにしか手に入らないものを幸せとは言わない。誰でも手に入るものを幸せと言う」というセリフがグッと来た。
終わり方も解釈を視聴者に委ねている感じが良い。

脚本、映像、音楽、役者何もかもが美しく、凄かった。
子ども2人は可愛すぎた。
pi

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