「怪物だーれだ」
主に母親、先生、息子の三視点でストーリーが描かれていく。
同じ時系列の話なのに視点が違うだけで序盤と終盤で全く違うストーリーに感じるのがすごかった。
序盤の母親や先生から見た湊の切り取られ方を見ると、あたかも視聴者に「怪物は一体誰なのか」を推理させるような演出に、私も誰だろうと伏線を探し推測を立てながら見ていたけど、見方によって「怪物」が変わって生き、物語の本質はそこじゃなかったんだと見終わって気づいて、まんまとミスリードにのっかりしてやられたなと思った。もはや善悪の判断がつかなくなりました。何が悪で何が幸せなのか。それすら論点が違うんだろうな。
こんなにも描かれているテーマが多いのにしっかりとまとまりのある作品になっていることに驚き。
緊迫のあるシーンと、湊と依里の少年時代の儚さを感じさせるシーンとで映像の濃淡が本当にしっかりしていて良かった。最後は色々考えさせられながらも気持ちよく終わることができてよかったと思う。
是枝監督は相変わらず子どもの描き方が上手い。物語の主軸を子どもに置いた上で、それを取り巻くそれぞれの視点から描いていく所にとても面白さを感じました。
