当然の事だけど、人生は一辺倒では無いよなあ、と改めて考えさせられる映画だった。ストーリーが進むと同時に、自分だけの視点で、自分だけのタイミングで誰かを疑ったり、見直したり、また別の誰かを疑ったり、凝り固まった個人的な思想で、あまりにも自然に色んな物事を決めつけすぎている事にハッとする場面が沢山あった。それは邪気が無ければ無いほど、恐ろしい。犯人が誰かという事実よりも、常に犯人を探す目線で劇中の人を見ていた自分がまさしく、それのような気がした。怪物が誰かというなら、自分自身であり、人々なのだと思う。誰かから見た誰かは怪物であり、またその誰かから見ても誰かは怪物である。受け取り方は様々だと思うが、わたしはとても清々しい気持ちでこの映画を見終える事ができた。伏線回収も沢山あり、見応えもあって、なにより教授の音楽が最高でした。田中裕子さん演じる校長先生の言葉が、今も、たぶんこれからも、忘れられないと思う。
