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怪物のlotusのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

自らが内面に持つ「怪物性」、他人によって押し付けられた「怪物性」。

少年の純粋な恋を描いた作品
好きだから、ただそれだけの理由が作中の登場人物たちを狂わす。

守る人は守りたい人のために他人を怪物化し都合よく解釈する。

誰しも守りたいものがあり、それは家族、尊厳、好きな人など、人それぞれである。

個人的な解釈であるが、登場人物は皆んな誰かにとっての怪物であった。
そして自分の中にも怪物を抱えているのかもしれない。

その自らの内にある怪物の一面を表に出さないのが大人だとすれば、それを出してしまった少年たちは大人の対にあたる立場として描かれている。

作中後半の楽器を吹くシーンでは、他人が知らない自らが持つ「怪物性」を表面に出すことの危険性を抽象的に教育するシーンであったかのように思える。

最後の、少年たちが自由に駆け回るシーンはとても美しく、少年たちの純粋無垢な感情が爆発した綺麗なシーンであった。

あの少年たちは、あの世で、いつまでも笑って、誰にも怪物化されずに、感情のままに自由に走り回っているのだろう。そんなことを妄想させる作品であった。
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