このレビューはネタバレを含みます
やっと見に行けました。で、ウワサに違わぬ傑作です！映画は監督のもの、ドラマは脚本家のものというけれど、今回の映画は、坂元裕二の脚本を、是枝監督が忠実にカタチにしたような映画。この“忠実”というのは観る人の
感覚であって、“忠実”に見せるのはすごい技術がいるんだろうなぁと思います。
一部は、湊の母沙織の視点。洗面台に散らばる髪の毛。片方ないスニーカー。水筒の中の泥。沙織の視点は、いじめから湊をすくいたい母の視点。二部は、教師、保利の視点。変わっているけれど生徒思いの優しい教師がなぜか湊の嘘でマスコミを騒がせるまでの悪のレッテルを貼られる。その困惑の視点。そして、三部は湊の視点。これまで見えなかったものをつなぎあわせる、真実の視点。脚本に潜められたものはいわゆる“伏線”ではあるけれど、見たものだけで判断したんじゃないか、と見る人に突きつけてくる仕掛け。
そこから感じるのは、限られた見るものでしか判断しない、浅はかさ。当人の気持ち不在で、芸能人の不倫を、会社の不祥事を、見ているものだけでたたき炎上に油を注ぐ、いまの社会の浅はかさ…。
ラストは、ぼくは悲しいエンディングだと思いました。２人にとって、この世界は生きづらかった。そんな悲しい旅立ちで終わる物語…。２人にとって悲しいラストを希望に変えるきっかけは映画の外にあるのだろうと感じました！
