是枝監督となかなか合わないので観るのを躊躇していたんですが、観て良かったです。
みんなだれしもが心に怪物を持っていて、
だれしもが自分が怪物かもしれなくて、
それに気づいたり触れたりした時の禍々しさや瑞々しさを美しく描いた傑作。
私自身、小さい時から男友達ばかりで、気にした親に、性自認に関してはかなり寛容に育てられました。
「女の子だから」とか「男の子ばっかりと遊ばないで」とか言われることもなく、
好きな黒い服をきて、ズボンで過ごしました。
迷彩柄が好きで、迷彩柄のシーツで寝ていました。軍隊が好きで自衛隊の武器の図鑑が好きでした。
だから今でも「女性らしく生きていかなきゃ」とか思わないし、「家庭を持ち子どもを持つことが普通」とも思いません。
でもこれって普遍的な考えじゃないんですよね。
「家庭をもつまで大切に育てると約束した」という湊の母親の台詞に、
「女の子を好きになっても、男の子を好きになってもいいんだよ」という私の母親の言葉の大きさを知りました。
普遍を押し付けるのも怪物だし、
マジョリティから外れていると気づいた時の自分自身も怪物だし、
面子をたもつために誰かを犠牲にするひとたちも怪物で。
もしこの先、自分自身に迷ったら、この映画を見返したいです。