よしゅあ

マイ・エレメントのよしゅあのレビュー・感想・評価

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
2.0
○水の表現や風景、背景、アニメーションがキレイ!。ウェイドが虹を作って見せてくれるシーンは、水のエレメントの子のポピュラーな遊びをなのかなとか思って、ふふってなった。物語のテーマ的にも、内面に惹かれて水や火という性質の違いを乗り越える所やエンバー親子が分かり合う所が好きなんだけどさ…テーマや物語は良かったのだけど、種族の背景や文化の描き方が、なんかこう、合わなかったかな

○監督をはじめ制作スタッフにも移民経験のある方々が多くいて、それぞれの経験を作品作りに反映させることでリアリティが高い作品になって説得力がある。白人中心主義で移民が生きるには辛い経験をしながら努力してきた事も見えて心が痛い。特に移民1世の苦労は計り知れないし、子ども達の将来の可能性を広げるために故郷を離れる決断は困難を極めたのだろうね…エンバーの親との関係によく見えた

○だけど、そのリアリティ重視の結果、映画内の文化表現にまで白人中心主義が隅々まで反映されていて、気持ち良くはなかった。先に移民していた水のエレメントの表現がいかにも白人文化として表現され、後の移民の火のエレメントたちはメキシコ・ポリネシア・中央アジア・アジアを思わせる文化として描かれる。文化の描き方まで白人中心主義を反映する必要あるのだろうか。また、昔のエレメント・シティの表現もしない事もそれに拍車をかけてるなあって。まあ、そこは考えすぎかな?

○この映画の登場人物(エレメントたち)に比べたら、人間と人間の障壁は簡単に取る事ができるよってメッセージがあるのかなと思うけど、エレメントを出す事で分かり合える方が奇跡って云われている様な、より差異が協調されて可視化されている様で辛くなった。特にアメリカや欧州の移民による軋轢や、移民を基にしたイスラエルの戦争がある現在だと、エレメント達よりも簡単に乗り越えられるはずの差異が途轍もなく困難な現実がみえてしまって、暗澹たる思いになる

私は現実世界の背景が描かれている創作物は好きなんだけど、これはちょっと…ね…

2023/11月
よしゅあ

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