きぬきぬ

荒野に生きるのきぬきぬのレビュー・感想・評価

荒野に生きる(1971年製作の映画)
4.2
未開時代の北西部に獲物を求めやって来た隊の狩猟道案内人が熊に襲われ瀕死の重傷を負い、足手まといだからと捨てられる。そうこれはイニャリトウの「レヴェナント」と同じ、実在の罠猟師ヒュー・グラスが体験した過酷なサバイバルの旅の伝説を元にしたものなのだ。でも別物と言える。

(ザック・バスと名前が変えられているが)置き去り見捨てられた男は、自分の親代わりでもあった隊長に復讐心を抱きその一念で生き延びるのだが、彼の生命力には先住民族でさえ一目置く程。荒野の自然に順応し野性のように生きる内に、男は人間性を取り戻し、省みることのなかった妻の死後置いて来た息子に想いを馳せるようにもなる。復讐心を抱きながらも、彼が目撃する‘生命ある’ことに感動する場面は印象的。
1970年代アメリカン・ニューシネマのこんな処が好きだなあ。荒野でのサバイバルの過酷さに、主演のリチャード・ハリスはボロボロでほとんど台詞もないようなものの表現力素晴らしい!(熊も本物使ってるしねー!)
対決することになる非情であった隊長役もジョン・ヒューストンが演じているから男と男の対峙する場面に迫力あり!
けれど異色の西部劇というか、サバイバルの中で、人としての己を見つめ直す物語でもあるから、所謂西部劇的対決は望まないように。
しかし、それが良いのだ。
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