ふじこ

ロサンゼルス 1991のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ロサンゼルス 1991(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ロサンゼルス暴動を題材にした、と念頭に置いておく作品。
そうじゃないと、ただ勝手に強盗に来たクセに撃退されたら弟が復讐に来る迷惑な作品になってしまう。
…と、分かっていてなお、勝手に強盗に来たクセによぉ みたいな気持ちは拭えないんだけども。
暴動のきっかけの一つに、子供が窃盗と間違えられて射殺された悲しい事件もあった気がするけれど、それで人種ごと憎まれちゃあな…って複雑な気持ちもある。全員、仮面を被ってマントを着て、AIの補正を通した文字で交流すれば良いのだろうか。

韓国系、メキシコ系、黒人系、白人系が四者四様の思惑で撃ち合い、同じ場所で同じ色の血を流して死んでいく。
なぜ憎いのか、なぜそうなったのか、どのようにすれば解消されるのか という話し合いなんかは一切ない。
少し前に観た作品で、"僕を知らないなら 僕を愛せない 僕に耳を傾けなければ 僕を知れない"という台詞があって、それは黒人差別に対しての気持ちを歌ったものだったけれど、どの人種であっても、どの地域に生まれ落ちても、どんな生活を送っていても、きっとそうだよね。
まして彼らは同じ国に住んで同じ言語で語る事も出来るのに。
話し合いで全てが解決するとは思わないけど、話さないとなにも分からない。話し合って意見を擦り合わせる事が出来るはずの知性は持ち合わせているのに、より容易な暴力に流れる。その暴力を行使する武器だって、知性がもたらしたものなのにね。

最後の語りはナシにして、ただ四者から流れる血が混じり合って排水口に消えるのを映すだけの方が好みだったかな。観れば分かるし、その方が自分が受け取ったメッセージ性が強くなると思う。
ふじこ

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