おいも

ナショナル・シアター・ライブ 2023 「るつぼ」のおいものネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます


ntlive 「るつぼ」を観てきた。そういえば自分も高校生の時に観劇したなぁなんてことを思い出して懐かしくなった。ちょうど10年前!
↓ここからネタバレ感想です↓



魔女かもしれないというだけで世間から差別され、ウソの告白をしなければ処刑される。
本当に魔女かどうかは誰も気にしない。本当に悪魔と契約したかは誰にもわからない。
証拠も証言のみ。告発が嘘かもしれないと反対の可能性を想像することもない。
ついSNSやコロナ禍と重ねてしまう。人伝に聞いた話を全てと思い込み必要以上に被害者に共感し、加害者の人生を潰すまで追い込む。ミルグラム実験でいうとそれは人間の心理なのだそうだ。
私がもし17世紀のセイラムで産まれていたら魔女狩りに加担せずにいられただろうか。悪魔の存在を信じ、未知の存在の魔女に恐怖を覚えたのではないだろうか。自分が正義の側に立ったと思った時、ネットリンチや炎上に加担せずにいるために、考え続けなければならいし、学び続けなければならない。

1幕のベッドで寝ているベティや、3幕の子供達に悪魔が憑依した時の演技が、精神疾患やパニック障害、病気での痙攣っぽく見えた。治療法や病気の理解など現代とは違うだろうし、そういう時代に他者が理解できないのは仕方ないとは思うが、そういう病の人達が魔女だとされたケースもあっただろうと思うと苦しくなる(自分も病んでいて薬を飲んでいるため)



観てよかった!正直重くて観るの辛かったけど、忘れられない作品になりそう!10年前に観た時のことはなにも覚えてないんだけどね…。たぶん当時は今よりもっとバカだったんだろうな…。(今もバカだけど)

最近のワクチン、マスク論争やオリンピック開会式のクリエイター騒動、ウィルスミスのビンタ事件などを見て正義についての勉強がしたいとずっと思っていました。その流れでアイヒマン実験や魔女狩り、赤狩りを知り、現代と重ね合わせて学んでいたところntliveで魔女狩りがテーマの「るつぼ」を上映すると知りました。なので感想が「正義とは」に偏っています。もっと色々な要素があったと思うのですが、一度では処理できず(情報量多すぎ)もう一度観たいです。
おいも

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