日下勉

「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たちの日下勉のレビュー・感想・評価

4.7
この作品は昨年の3月に名古屋のシネマスコーレで一度鑑賞している。ただ震災から13年、その記憶を新たにしていくためにもと思い鑑賞。
広く知られていることだが、石巻市の大川小学校では震災による津波によって74人の児童と10人の教員が犠牲になった悲劇。もっとも東日本大震災が22318人の死者行方不明者を出した災害なので、この悲劇は数ある内の一つだとは思うが、やはり印象に残るのが、多くの児童の犠牲と遺族が国家賠償の訴訟を起こしたことだろう。皆同じ悲劇に見舞われた中で訴訟を起こした遺族へ、心ない中傷や批判があったことは報道などで知られているが、何故訴訟を起こしたのか? やはりそれは充分、避難する時間があったにも関わらず、しかも目の前の裏山に避難すれば助かったはずなのに、何故そうしなかったのか。第三者委員会での検証でも責任が明確にされず、一部証言の隠蔽などもあり、仕方なく訴訟を起こしたもの。ここで何があったのかを糺すための裁判でも訴訟を起こすために亡くなった子供の命に値段をつけなければならない法の理不尽さや、それでも正しいことを知るために、一つ一つ証拠を積み上げる遺族らの気持ちに心打たれる。
やはり多くの人にみて欲しいドキュメンタリーでした。
日下勉

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