この世界の白々しさ
全てが白々しい、こんな感覚始めて
轢き逃げにより妻を失った男がその犯人に復讐する迄の2日間の物語
こう聞くと純映画的なカタルシスにあふれた映画を想像しますがまったくそんな事はありません。
いろんな事がシュールに積み重なっていく出てくる登場人物全員変なやつばっかりの映画なんです。
殴られてるのにチャリ乗ったり、
脅されてヤラれたのに匿ったり、
コイツには俺がいなきゃダメと言っときながら特に何もしなかったり、
復讐すると言いながら会話がしたかっただけと行ったり、
やる事なくて暇なんて言って傍若無人に振る舞っているのにビビったり、
もう出てくる全員白々しいのです。
きっと全員寂しかったんでしょうね
心の隙間を埋めたかったんだと思います。
復讐もその内の1つ、復讐出なくて風俗でもその代わりはできるのです。立たないけど、、、、全部が白々しい…
でも、それが独特の浮遊感を産んでいる。
本来の作りならカタルシスに向かうはずなのにその一歩手前で全部踏み外していく、
それと呼応するかのように役者陣の演技も凄く嘘くさくて白々しいのです。
最後の泥まみれのシーンとかもう白けて白けて…その後のプリンもね
何というか人の孤独とかよわさとかをここまで引いた目線で描いた映画って他にないんじゃ無いでしょうか?
ともすれば主人公に同情して終わりの作品になっていたと思いますが、そうはさせずにそこにある新たな一面を見つけてくれたというか、
結局物語だったんでしょうね、主人公にとってあれはというか全ては
坂井真紀のあの贅沢な使い方もそれなら納得できます。
なんせ殆ど声だけで顔もちょっとしか映ってないんですから、
本当に奇妙な映画を見ました。
この苦い味わい二度と味わいたくありません。忘れられない映画体験になったと思います。