占野

その夜の侍の占野のレビュー・感想・評価

その夜の侍(2012年製作の映画)
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すごく面白かった。
何より堺雅人が最高だったなあ。俳優はすごいよー。なんかもう、すごい。絶対に手が届かないけど、永遠の憧れだし、私だってあんな風に色んな人生を体験してみたい。とかいう私情はどうでもよくて。

あと、演出が良かった。個人的に好みだった。お洋服を抱きしめたり、「お前を殺して、俺は死ぬ」の印象的な黒味が何度も出てきたり、あと、プリンね。ラストのプリン。大好き、あのラストシーン。きっと一生忘れないね。

この映画は、衣装やセット、照明の色味が意味を持っているから見てみたら?と言われて見たのですが、なるほど、本当に徹底されていてかなり参考になりました。
オシャレ映画(と言うのか?)とかSF映画では色で遊ぶのも多少やりたい放題できるけど、こういうシリアスな映画ではなかなか難しい気がして。

包丁を隠し持つ水色の服をまとった男が真っ赤なトマトを手にする、赤い看板や赤い文字で溢れた商店街を歩いていく。
夕日の光で照らされた部屋で人が殺されようとしている、水色のカーテンで夕日が遮断された隣の部屋では、それを見つめる男女。だけどその男女も赤いネクタイをつけていたり赤い服を着ていたりしている。
全編通してそういうことが徹底されているんですねー。

映画はまじで奥が深いな。人並みのことしか言えませんが、表現の方法は演者の動きや画角だけじゃなくて、本当に無数にあるな。
ありがとうね、大好きです。
占野

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