このレビューはネタバレを含みます
世界の仕組み、その恐怖と狂気に目を向けた怪作。
本作はタイトルと予告編からミスリードを誘うような作りになっているのが非常に面白くいい意味で裏切られた。
本作には悪意を持った狂人や敵意を持った幽霊などは登場しない。
本作の恐怖の対象、この作品のホラーアイコンは世界の仕組み、そしてそれに抗うことができない自分自身というのが斬新かつ皮肉であり最悪だった(褒めてる)。
誰かの犠牲の上に幸せが成り立ってることを冒頭から上京できた主人公/できなかった幼なじみで表象しているのも意地が悪いし、結局その関係性のまま逆転も無く犠牲になるというのもリアルで哀しい。
また、幼なじみの死と共におばあちゃんが出産するが、生と死の対比表現・本作のテーマである「幸せの総量」「等価交換」の原則を視覚的に表現してるのは唸った。
タイトル含めて、観客に無自覚な加害性を自覚させる怪作。
下津監督の今後の作品も楽しみです。