半兵衛

みなに幸あれの半兵衛のレビュー・感想・評価

みなに幸あれ(2023年製作の映画)
2.3
お祖父ちゃんお祖母ちゃんの家という懐かしさと温もりのあるアイテムを、『ミッドサマー』風のホラーに仕立てて見ましたという悪趣味(褒め言葉)な映画。ただ内容が理不尽すぎて怖さが薄くなり段々星新一や筒井康隆のようなシュールなコメディに感じられたと思ったら、製作者サイドもそれに気づいて開き直ったらしく後半はひたすら突飛すぎるネタを次々と繰り出してコントみたいな様相に。だから劇中の古川琴音同様、考えるのをやめて放心して見ていました。

「不気味!祖父母の家が何か変だよ」というネタの一点突破で物語を作っているせいか、後半はどんどん息切れして変なところばかり膨らまして整合性が皆無な状態となりオチを放棄している事態に。それに加えて脚本も粗が多く、ストーリーの進行が停滞して絶句してしまった。もっとも『呪怨』の頃から物語より客を驚かせることばかりに苦心してきた清水崇監督がプロデュースしているのだからそうなるのは当然なのかも。

でも家に隠されていたあれやオチの出産やら田舎で右往左往する主人公といい、『ミッドサマー』というより『極道恐怖大劇場 牛頭』みたいになっているのが皮肉というか何というか。

監督が新人だからと大目に見ても演出が少しぎこちないのはなんとかならなかったのか、肝心の家の構図を説明しないため玄関やら廊下やら時折「ここどこだっけ?」状態になり把握しづらくなっているのが惜しい。

総じて言えば刺激でドラマのダメなところをひたすら覆い隠そうとするも出来なかったため、設定の雑さもあってカオスな作品となってしまった印象に。それでも異様な世界の仕組みに追いつめられる古川琴音の熱演でプラス0.3オマケ、きっと彼女はいい女優さんになれます。

それにしてもたびたび登場する「幸せ?」という台詞はうざかった。
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