amama961

みなに幸あれのamama961のレビュー・感想・評価

みなに幸あれ(2023年製作の映画)
1.0
テーマ性は分かるけど、テーマそのものの捉え方がちょっと稚拙で勉強不足感があるかな。
誰かの不幸の上に誰かの幸福が成り立っている、というのはありふれたテーマだから、相当勉強して他作品では描かれていないとこまで踏み込むか、もしくは監督か脚本家の個人的経験から積み上げた価値観に基づいた、個人的な話にしないとオリジナリティは出ないと思った。
グローバルサウス的な話もポッと出して終わりにできちゃうのは、あまりに社会問題への知識不足で、テーマに選んだことへの誠実さが足りていない気がする。

アリ・アスター風な演出を使うなら、アリ・アスターの作風である、個人的な経験やそこから培った価値観をホラーに反映してるところこそ、汲み取るべきじゃなかったのかな。この話だとトレンドに乗っかってるだけな感じがしちゃったな。
ダンスのカットも、結局取り扱ってるテーマの中に置かれるから、遊び心というより、製作側の斜に構えた自意識が透けて悪ふざけに見えた。
おどろおどろしいBGMもこんなに入れられると、ココが怖がりポイントですよってツボ押しされてる気がして冷めちゃうよ...

製作陣のパワーバランスが実際どうだったかは分からないけど、これだったら清水崇と角田ルミが入らない方が、監督の個性に振り切れていいものになったんじゃないかな。せっかく新人発掘的な賞を受賞させたのに、角がないありがちな邦画になるのは、わざわざホラー賞作ってKADOKAWAが儲けたかっただけ?と思ったし、よっぽど社会問題的なホラー(現在の資本主義の枠組みでエンタメを作る限界・権力構造・分かりやすさという消費者への媚びと見下し・理解度を要求しない作品が儲かる社会から感じる労働者の疲弊、教育レベル、過処分時間の低下等)だなと感じてしまった。
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