千里

霧の淵の千里のネタバレレビュー・内容・結末

霧の淵(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

トレイラーを観てちょっと気になったので鑑賞。終盤の解釈について、観た人と凄く語りたくなる部分はあれど、全体的にじんわりと良い映画だったな〜。

舞台は山の麓の村。冒頭から暗めの画で物語が始まり、少し進んでも陰鬱とした空気感だったのでチョイスミスったかな〜...と思いつつも、段々と霧の中のゆったりとした日常に慣れていく。主人公の家が旅館なのだけど、そこまでお客が入っている訳でもなく、ゆったりと日々が進んでいくのが良い。

暗めではっきりとは見えないのだけど、食事シーンが凄く美味しそうに感じられて良かった。ASMRじゃないけど音が良いのかな。それから食事シーンを使って、おじいさんがいなくなったことを暗示するのも上手い。でも流石に警察に届けた方がいいでしょう...。。

おじいさんがいなくなり、旅館の仕事も回らなくなる為に仕方なく休業となる訳だけど、これは母親にとっては新しいことを始める転機でもあり、でも娘は旅館を続けて欲しそうだったりと、母親が一人で色々なことを抱えてしまっていて辛かったのかなとか。通行止めの道路から古いおじいさんの家、川沿いを歩いたりと、この辺りのシーンは明るいし母と娘の貴重な会話があってとても心地よい温かなシーンなのだけど、同時に母親の心の内が娘に明るみになってしまうシーンでもあり、、あの川に向かって無言で立っていたシーンは飛び降りようとしていたのか?はたまた(ないとは思うけど)娘を突き落とそうとしていたのか?とか。その後の娘のタイムスリップ?夢?のシーンもノスタルジックで良かったんだけど、最終的に母親と娘は同じ世界で暮らしているのか?はたまたどちらかが別の世界に行ってしまったのか。川のシーン以降最後まで2人が一緒に出てくるシーンがないので、色々なことを考えてしまう。

良い映画だけど、考察しがいのある映画だった。
千里

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