コマミー

コカイン・ベアのコマミーのレビュー・感想・評価

コカイン・ベア(2023年製作の映画)
3.7
【森の中のコカイン合戦】





1985年、アメリカで"ある事件"が起きた。
ジョージア州にて、ツキノワグマが"麻薬密売業者"が投棄した"コカイン"を大量摂取し、その熊は死亡したという事件だ。

……一部映画と違う所はあるが、そう、本作で描かれているのは、この"実際の事件"がペースとなっているのだ。

本作を知ったのは海外の予告編を観た時だ。コカイン大量摂取でハイになった熊が、人に襲いかかるなんてインパクトがありすぎると思った。それに監督は「スリザー」(女優)や「ピッチパーフェクト」シリーズ(2作目で監督デビュー)や「チャーリーズ・エンジェル」(監督)などの"エリザベス・バンクス"だし、製作には"フィル・ロード&クリストファー・ミラー"と言う製作陣も天才揃いの為、凄い気になっていた。
そして本作の公開時に思った事だが、Netflix映画「フェアプレー」同様、"オールデン・エアエンライク"が出ている。今週公開の作品は、オールデン祭りだ。

まず"熊の迫力"が凄すぎた。オフィシャルサイトや本作のエンドロールを見てみると、"CGI"を担当したのはあのピーター・ジャクソンが設立した"WETAデジタル"が参加している事が分かった。ピーター・ジャクソン作品は勿論、あの「アベンジャーズ」にも参加した一流のCG技術を誇る会社が熊のモーションキャプチャーを担当した事で、"大迫力の悍ましさ"を体感する事ができた。
それに登場人物も"ほとんどクセ強キャラ"。刑事やギャング、森林警察官や子供たちまでなどなど…このクセ強で"いやな予感しかしないキャラ"が集中するのは70年代から続く"低予算アニマルパニックホラー"を意識しての事なのか、展開は分かっていても「キャラ達が盛り上げてくれるなら問題はないな」と私をなだめてくれる。

それに本作は"家父長制"の招く厄介さもチラッと描いている。"レイ・リオッタ"演じる"麻薬王:シド"とオールデン演じる"その息子:エディ"だ。ラストに差し掛かるシーンで、父と子の"真価を問われるシーン"があるのだが、こちらもどちらかと言うと展開は読めていたのだが、エディの決断が私的には本当にスッキリした場面でもあり、改めて家父長制の必要性について考えさせられるシーンでもあった。一家代々麻薬業者だなんて、酷である。
亡きレイ・リオッタやエディを演じたオールデンも2人とも良い演技であった。

本作は正直、結構展開が読める物語である。
しかし、アニマルパニックものの醍醐味である"何も考えないで見れる"と言う目標は達成できてるし、あえて家父長制を描いているのも映画として熊の迫力や登場人物の魅力以外に、味があって良かった。

エリザベス・バンクスは今後、「コカイン・シャーク」を準備中らしいが、バンクスが下す条件が満たされていれば実現するとの事だ。
もし実現するならば、そちらも見てみたいものである。
コマミー

コマミー