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658km、陽子の旅のWNTのレビュー・感想・評価

658km、陽子の旅(2023年製作の映画)
3.8
夢を追いかけていたものの、叶えることを諦めてしまった42歳の陽子はフリーターとして一人暮らしをしていた。
ある日従兄が家にやってきて、青森に住む22年会っていない父が病で亡くなったことを知る。
従兄家族と車で青森に向かうが、サービスエリアでトラブルが起こり従兄家族に置いてけぼりにされてしまう。
迎えを待っていたけれど、なかなか現れない従兄家族を待つのをやめて陽子はヒッチハイクで青森へ向かう。

一期一会で人の温かさや世の厳しさに触れ、自分自身の殻を破っていく。
人とうまく話すことすらできない、目も合わせられない陽子が自分から行動し思ったことをはっきり言えるようになっていく。

他人に興味がなく、自分自身すらどうでもいいと感じられる陽子の中身はすっからかんで、生きる希望もなく父の幻影に囚われ続けている。
自分が家を出たときの父の年齢と同じ42歳になり、何をしているのかとどれだけ問いかけても亡くなった父も失った時間も答えてくれない。

あんなに嫌いだった父が亡くなったことで、いままで経験してこなかった、逃げてきた生き方と向き合い見つめ直していく姿にグッと来る。

失敗しても辛くても、良いことがあるしいい出会いも見つかる。
人生悪くないな、もう少し頑張ってみようと思えたとき陽子の世界が明るく照らされていったように思える。
生き方や人生を変えるチャンスや出会い、分岐点は行動しないと見つからない。
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