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658km、陽子の旅のiccoのレビュー・感想・評価

658km、陽子の旅(2023年製作の映画)
4.1
自分を守れる平和な卵の中の世界に引きこもっていた主人公だけど、突然準備なくその殻を突き破られ外に出されてしまった。

その上降りかかったアクシデントは、自分でこの状況をなんとかするしかない、という自分を取り戻すための通過儀礼のような試練だったけど、結果彼女に必要な変化をもたらしたと思う。
薄皮を一枚ずつ剥ぐように、車を乗り換えるたび彼女の発する言葉が増えていき、少しずつ言いたいことを言えるようになっていくことに、彼女の心の成長を感じた。

口から出る言葉は書くのと違って消しゴムで消せない。どうしても慎重になってしまう。
伝えたい気持ちはあるけど、それを言葉にしたら違う感じになって伝わってしまうこともある。
言葉は難しい。
私も人と関わるのが面倒で集団を避けている所があるから、最後の彼女の独白がとても心に沁み入った。

いや、しかし凛子ちゃん凄かったわー。
気持ちを言葉にして語らない主人公だから、表現方法が表情や動きに集中したと思うけど、すごい伝わったもんね。
実物は繊細そうなイメージはそのままだったけど、役柄でほぼ笑顔を見せなかったから、余計にニコニコ笑ってるのが可愛かった。
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